大切なエレメント

1.情熱

熱エネルギーは、温度の高い物質から低い物質へ熱が移動します。この熱の移動は、自然に起きますが、逆の過程(低温の物質から高温の物質への熱の移動)は、自然には起きません。

この自然の法則から考察すれば、トップ(リーダー)の考えや想いは、その情熱の大きさ・強さによって、組織(グループ)への伝わり度合いが変化すると考えられます。熱の移動は温度の高い物から低い物へ流れる特性から、トップの情熱が低ければ、何も伝わらないかも知れません。その組織の熱エネルギーは、トップ(リーダー)次第だとも云えます。

それらを大前提にすれば、経営者(リーダー)自らは、常に情熱を燃やし続ける対象(活動の原点など)を具体的かつ明確に確保していく必要があります。そうでなければ、熱(意欲など)が冷めてしまい、事業を維持・継続する事が困難となるリスクが高くなります。また、成長・発展を望むのであれば、経営者はおごる事なく、自分を磨き続けることによって、自らを高めることが大切なポイントになります。

その自分を磨き続けるポイントとして、建築家でサグラダ・ファミリアを設計したアントニ・ガウディは、「私たちが心を開いて、努めて読むのに適切な偉大な書物は、『自然』である」と語っていることを参考にするならば、時代を超えて成功するヒントになるのではないでしょうか。

2.循環

血液は、ビジネス上において「お金」に例えられる事がありますが、常に循環していて、血行が悪くなれば体調を崩し、病気にもなりやすくなります。健康を維持し、増進する為には、適度な運動と体に良い食事、心の健康が欠かせません。日頃の生活習慣(ルーティン)、休養(メンテナンス)の取り方などによって、病気へのリスク、将来の健康寿命に大きく影響する事は、自明の理であります。

血液は、心臓がポンプの様に収縮して脈を打ち、リズミカルに打ち出され、およそ60秒で一周して戻ってきます。全身にある血管を一本にして伸ばすと、約10万㎞の長さになり、地球を2周半することになります。

血行を良くする為には、毛細血管にまでしっかりと血液を送り、滞ることなく隅々にまで血液を巡らせる必要があります。動脈・静脈のそれぞれの役割を、ビジネス上の出金・入金に置き換えると、タイムラグを起こさない様に、資金繰りをしっかり管理する事が、事業を継続して行く上での重要な要素だと云えます。

資金繰りの血行を良くするには、企業を適切な体質にキープする為の工夫が必要であり、顧客維持・営業などの強化、心の健康(理念、目的、目標など)の管理、業務内容の適正化・省力化・効率化、働く人のメンテナンス・環境づくりなど、バランスに注意しながら、健全な企業体質の構築、循環システムの確立などが必要不可欠であります。

3.重心

人が立って歩く時、重心の位置によって運動エネルギーが変化します。その高低差によって効率や疲労感などが違ってきます。運動を日頃のビジネス上の行動や車の運転に例えて考えると、走行安定性は、足回りの基礎がしっかりしていて、ボディ剛性もあり、ハンドルがぶれない様に軸のセンターやタイヤのホイールバランスを取る必要があります。

ビジネスにおいては、中心となる柱(人、商品、顧客サービスなど)があって、核(重心)になる想いや理念、覚悟など、判断基準等が明確に浸透していれば、「想い」「言葉」「行動」の一致が信用や売上に反映し、事業として継続・発展する可能性が大きくなりますが、もし、それら3つが一致しない場合には、姿勢を正して修正しないと、危険な状態になる事は容易に想像ができると思います。

普段、私たちは実感する事はありませんが、地球は音速(340㍍/秒)を超えるスピード(500㍍/秒)で自転しており、公転速度はその60倍のスピード(30㎞/秒)で太陽の周りを回っています。太陽系も銀河系の中心を公転しており、そのスピードは、地球の自転速度のなんと480倍(240㎞/秒)のスピードで回っているのです。

この驚異のスピードで自転・公転している自然のダイナミズムや秩序は、科学や人智を超えたものとして捉える事も可能でありますが、もしも簡単に地軸や重心がぶれてしまう様な事態が起こっていたら、この自然の秩序は、あっという間に崩壊し、持続する事ができなくなってしまいます。

そうした自然のダイナミズムから考えても、ビジネスや人生における柱(軸)や核(重心)は、とても重要であり、確固たるものを形成するプロセスに重きを置くことが、安定した走行(経営や人生)に繋がると考えることができます。

4.調和

人間の体は、約60兆個の細胞からできていますが、それぞれに役割分担があり、上下関係も主従関係もありません。それぞれの細胞が、それぞれに与えられた役割を自らが進んで積極的に果たしながら、仲良く得たものを分け合っている。それが健康な状態であり、手と足が仲違いする事もなければ、脳や心臓だけが威張る事もありません。そうした事が、DNAの研究の第一人者である村上和雄氏の著書「生命の暗号」の中で語られています。

また、人間のDNAの中には、過去何十億年にわたって進化して来た過程の記憶や能力が入っている可能性があり、極端に云えば、一人の人間のDNAに人類すべての可能性が宿っているとあります。

これは、赤ちゃんが生まれる時、精子と卵子が出逢って結合し、受精卵一個から細胞分裂を繰り返し、「心臓」が動き出して、受精後30日ぐらいから「魚類」になり、「両生類」になり、「手」が生まれ、「爬虫類」になり、「哺乳類」になり、やがて刻々と「人間」になって行く生命進化の過程からも想像ができます。

さらに、生き物が生まれる確率は、「1億円の宝くじ(研究当時の最高額)に百万回連続して当たる」くらいすごいことで、生きているだけでも「奇跡中の奇跡」であり、素晴らしいというのが、遺伝子からの発想とあります。

企業組織も、人体の細胞がそれぞれ独立した存在でありながら、各器官や組織が見事に繋がり合って、一つの生命体を構成している事実から、企業組織の在り方を学ぶべきかも知れません。目先の損得勘定(エゴ)ばかりに振り回されずに、本来の目的、本当に価値あるモノを大切にする習慣づくりを心掛け、バランスを保ちながら成長(進化)にフォーカスすることが、結果的に望み通りのビジネス、人生に繋がると確信しています。

5.空間

宇宙空間は138億年前に誕生し、ビッグバンの大爆発から、離合と集散を繰り返し、膨張を続けているという宇宙観があります。太陽は、恒星が燃え尽き、自らの重力によって崩壊し、爆発によって生じたガスや塵が集まり、核融合が起こって生まれたとされています。

地球は、46億年前に、太陽が形成された後に残ったガスや塵が衝突して合体し、さらに微惑星同士が衝突・合体を繰り返して、質量が大きい惑星へと成長したと考えられています。また、水と空気があり、生命が育まれるこの地球が誕生する確率は、25mプールに時計の部品をバラバラに投げ込み、水流だけで時計が組み上がる確率と同じだと云われています。

この奇跡的に恵まれた空間の中で生きている生命は、それぞれの生命が役割を果たしながら、水と空気と食物が循環している中で、空間を維持しています。人々が生活をしていく中においても、それぞれの人が、それぞれの仕事(役割)を通して、支え合いながら、日常生活が維持されています。

人が成長する為には、人との出逢いや縁による化学反応が欠かせません。刺激、気づき、感動などによって新陳代謝が促され、出逢いの後の行動や活動のフィールド(ステージ)に影響を及ぼしていると考えられます。また、縦軸(次元の継続、両親・先祖・子孫)と横軸(時間の継続、人間関係)の空間と時間の関係において、無限と永遠の繋がりを認識しながら、活動する事も必要かも知れません。

ビジネスや人生においても、出逢いや縁、別れなどによって、発展や衰退の原因に起因したりするなど、空間の成り立ち、法則、自然の偉大さに眼を向ければ、人は一人では何もできない事、役割が大切である事など、これまでと違った視点、捉え方、意識などが目覚め、思わぬ効果が現れるかも知れません。

6.時間

自分の一生という全体像から時間を捉えると、寿命は、時間という命の長さに比例します。即ち、「時間=命」であると教えられた時、ストンと腹に落ちてきました。

命が時間であるならば、無駄な時間は、命を捨てていることと同じであり、とても罪深く、もったいないことであるとも言えます。限られた時間(命)の中で、命を懸けたり、命を削ってまで生きようが生きまいが、必ず時間(命)は経過し、寿命は縮みます。物理的には同じかも知れませんが、「想い」「意識」「覚悟」などの中身は全く違います。

時間(命)は、どんな風に使っても、同じ時間だけ短くなりますし、それぞれの人が抱く想い出や記憶は、その時々の取り組み方、捉え方、心の在り方などによって、様々な結果の違いが現れることは明らかであります。

二度とない一度きりの人生、どんな想い出、記憶になるのかは、その人の「生き方そのもの」が反映されると言っても過言ではないでしょう。であるならば、有意義に人生を送る為には、どうすればいいのでしょうか?

余命宣告を受けた人たちに共通する後悔があります。日本人と欧米人では傾向が若干違いますが、一番の後悔は、「愛する人に『ありがとう』と伝えなかったこと」、「他の人から求められる自分ではなく、もっと自分自身に正直に生きればよかった」とあります。

ビジネスでも人生でも、必ず終わりがあります。その最後に後悔しない為には、一番遠いところ(死ぬ時:究極の未来)から、死から生を観て、人生の目的、目標設定をするのが、賢明であると云えるのではないでしょうか。

企業の平均寿命は、24.1年(2016年調査)とあり、日本は100年以上続く企業が世界の中で最も多い国ではありますが、起業したばかりの企業の生存率は、1年後60%(廃業率40%)、3年後38%(廃業率62%)、5年後15%(廃業率85%)、10年後は5%(廃業率95%)という統計(1996年調査)もあります。5年間で減少した企業数は約39万者(2014年調査)、それぞれの数字から現実を鑑みると、世代交代による事業承継をスムーズに行うこと、起業に伴う経営の勉強をしっかりと積み重ねて行くことの必要性を強く感じます。

終わり方を明確にイメージし、実際に「最高の人生だった!」と云える人生を送る事ができれば、本望ではないでしょうか。そして、日頃から「今日も最高だった!」と云える人生を送る事ができれば、真の成功者と云えるのではないでしょうか。

7.羅針盤

旅行へ出発するためには、現在の位置を知り、地図と方位磁石があれば旅行が出来ます。旅行には、目的地(ゴール)があり、期間やルート、予算などによって、乗り物や行程、装備する物が選択・決定されます。

ビジネスや人生において、有意義な一生を送る為には、最終の目的地(ゴール)、ビジョン、設計図などがあれば、進む時に迷いが少なくなることでしょう。また、既に目的地へたどり着いたことがある経験者に教えを乞うことも有効な手助けとなるでしょう。そして、長い旅路のプロセスを順調かつ適切に進めて行くには、バロメーターになる指針等を明確に設定しておくことも重要なポイントになると考えられます。

上記の1~6までの大切なエレメントを認識して、体感・体得・体現しながら、最終の目的地(ゴール)に向けて、一歩一歩着実に進んで行くことが、有意義な一生を送るコツではないでしょうか。

二度とない一度きりの人生、大切なパートナーや家族、仲間、友人・知人、ご縁のある方々には、本当の自分自身を生かし切り、最高の人生を送る為に、思いっきり人生を楽しみ、喜びに溢れ、「最高の人生だった!」と云える終わり方ができることを、切に願ってやみません。





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投稿者プロフィール

ひらけゴマン
株式会社セブンクローバー 代表取締役
経営コンサルタント
事業再生アドバイザー
ファイナンシャルプランナー2級
証券外務員資格(二種)
宅地建物取引士
社会福祉主事任用資格